歓びのトスカーナ見た!
イタリアのトスカーナ地方にある診療施設ヴィラ・ビオンディでは、精神的な困難を抱えた女性たちがリハビリに励んでいます。そこの住人である自称伯爵夫人のおしゃべりな(ものすごい喋る)ベアトリーチェさんもその一人です。
そこへある日、やせた体にたくさんのタトゥーを施したどこか虚ろな若い女性、ドナテッラさんが新たな患者としてやってくるのでした。
ベアトリーチェさんはそんな彼女に興味を抱き、めちゃくちゃに話しかけてたんですが意外にもドナテッラさんはそれほど嫌がらずに付き合うことができたのです。
やがて親交を深めていった2人は施設の外で仕事をしたときに勢い脱走し…、みたいな話。
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この映画見てると自分の中の「狂」の部分が増幅するな…(笑)
奔放と見えて、心中焦燥感で窒息してしまいそうになっている感じ。
良くないことはよくわかっていて衝動を我慢できていないみたいな。
ベアトリーチェさんのハイテンションもドナテッラさんのローテンションにもちぎれるような痛みがほとばしっている。
ベアトリーチェさん、盛り上がってるだけで胸の内では全然楽しくないんだろうな。
ドナテッラさんと出会ったころの話しかけてたらじつは音楽を聴かれててへそを曲げてしまうところ、この人はさみしいんだろうな…って感じた。
ドナテッラさんと息子さんの海のシーンもトスカーナと相まって美しい。
ドナテッラさんが息子さんと会えたことも、今のお母さまとすれ違うところで二人の口元に小さく笑みがあるところも、本当にちょっとだけの希望というか、充実というか、幸せとか、そういうものだなって思います。
ただただうなだれるしかない現実には気分がふさぎますけど、見終わるとお二人にはこれからいいことがあるんじゃないかって思えるような終わり方です。
ドナテッラさんとベアトリーチェさんが重なりあうようにしてひと時眠る静かで優しい瞬間…。
結局施設に戻ってもこれからはご友人もいることですし、きっといい方向にかわりますよね…
それが私的にはいい映画だったなって思います。